■ヒダカズのココロの授業-比田井通信

さぁ、前回のつづきです。

行商に行く途中、軽トラの中で、
師匠から「返事一つで人生が変わる」の話を聴いて、
中村さんは目から鱗を落としまくって、
団地に着きました。

軽トラを降りると、師匠は中村さんに、こう言います。

　「これから、お客さんを集めなならんばい。
　　中村、お前にその客寄せをしてもらうから、
　　このトラックの運転席の屋根に上がれ！」

中村さんは０．２秒で「ハイッ！」と言わなくてはいけないところを
「は～？」と言ってしまいます。

その瞬間、師匠の右手は中村さんの胸ぐらを掴みます。

　「お前、０．２秒の返事はどうしたっ！
　　また、お前は自分の都合考えただろ！
　　こんなところに上って何があるんだろう？　
　　何をやらされるんだろう？って。

　　いいか、小学生の頃から
　　『返事が大事』なんて言ったって、
　　できなきゃ意味がないんだよ。

　　お前、覚えておけよ！すり込んでやるからな！
　　『０．２秒の返事』、
　　すり込んでやるから楽しみにしとけよ！」

中村さんは、「すいませんっ！すいませんっ！」と言って、
運転席の屋根に上がります。
そして、「何をすれば、いいんですか？」と聞きます。

このとき、中村さんは
「今度こそ、何を言われても０．２秒で返事をしてやる！」
と思って、『ハイ』っていう口の準備までしていたそうです。

ところが、師匠は中村さんにこう言います。

　「近所の奥さん方が、
　　『なにをやっているんだろう』とか
　　『楽しそうだな』と思ってもらえるような踊りを
　　音楽にのせて踊れ！」

この言葉を聞いて、中村さんは「ハイ」が言えません。
そして、「この人には、ついていけない・・・。」と思い、
師匠に『泣き言』を言います。

　「勘弁してくださいよ。
　　僕、この間まで高校生だったんですよ。
　　そんなことしたことないですし、恥ずかしいじゃないですか。

　　道を通る車だってこっち見ているじゃないですか。
　　歩いている人だって見ているじゃないですか。
　　勘弁してくださいよ。」

と言って、屋根から下りようとしたそうです。

それを聞いた師匠は、
中村さんの足を持って、ガガーっと屋根から引きずり下ろして、
思いっきり、中村さんの事を殴ったそうです。

しかもその後、胸ぐらを掴んで、
顔を中村さんの顔の数センチのところまで近づけて、
こう言います。

さぁ、師匠の言葉…楽しみですね！
続きは明日です！

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