■ヒダカズのココロの授業-比田井通信

さて、今日も料理人のお話です。
これも、佐藤芳直さんに教えて頂いたお話なんですね。

三國清三さんという方を知っている人はいるでしょうか？
ホテル・ド・ミクニのオーナーシェフで、超一流のフランス料理人です。

昔、「料理の鉄人」という人気番組があったのですが、
その番組によく出ていました。
あの、「道場六三郎さん」とよく闘っていました。

その三國さんの話です。

昭和44年に三國さんは中学を卒業して
札幌にある札幌グランドホテルというところに就職をしました。
当時、札幌グランドホテルといえば、
札幌ではＮｏ１のホテルだったそうです。

三國さんは才能があったんでしょうね。
18歳の頃にはそのホテルの人気シェフになっていたそうです。
でも、三國さんの夢はもっと大きかったです。

「どうせ料理の世界で生きていくなら、日本一の料理人になりたい」と思い、
東京にでることを決意します。
そして、当時、フランス料理では日本一と言われていた「帝国ホテル」の厨房に
なんとか「パート」で入ったそうです。

帝国ホテルには村上信夫さんという、総料理長がいたんですね。
「料理の神様」と呼ばれ、
フランス料理では日本一といわれていた人です。

三國さんは最初の日に、その村上さんに
「なにをやらせてもらいましょう？」
と言ったそうです。その三國さんに村上さんは

「そうだなぁ、鍋でも洗ってもらおうか」って言ったそうです。


三國さんにしてみれば、
「俺は札幌グランドホテルで人気シェフだったんだ！」
という思いもあったでしょう。
「その俺に、鍋洗いをさせるとは、どういうことだ！」って
ムカッっとなったそうです。

でも三國さんはさすがです。
「それなら、三國の鍋洗いをみせてやろう」と思い、
その日は徹夜で、鍋の取っ手のネジまではずして、
キレイに洗ったそうです。

そして、翌朝その鍋を調理台の上にズラ～っと並べておいたそうです。
シェフだけで200人もいる厨房ですから、広いんでしょうね。
壮観だったと思います。

そして、三國さんは村上さんのところに行って、

「私の鍋洗い、見て頂けましたでしょうか？」と言ったそうです。

村上さん「うん、見たよ。キレイに洗えていたね」
三國さん「今日は何をさせてもらいましょう？」
村上さん「そうだなぁ、鍋でも洗ってもらおうか」

なんと、このあと三國さんは２年半もの間、鍋を洗ったそうです。

さぁ、このあと三國さんはどうなったのでしょうか？
気になりますねぇ。

それは次回のお楽しみにしましょう。

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