【「プチ紳士からの手紙」コラム掲載4周年記念特別企画その3】
コラム掲載4周年を記念して、過去のコラム記事を掲載しています。
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プチ紳士からの手紙」
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「プチ紳士からの手紙」 2010年8月号
私が一番受けたいココロの授業
「人はいつからでも生まれ変われる~留置所からの手紙~2」 比田井美恵
前号で、私達の本「私が一番受けたいココロの授業講演編~与える者は与えられる~」
(比田井和孝・美恵著 ごま書房新社)を読んだ青年からの手紙をご紹介しました。
差出人の住所には、留置所の名前…。
一郎さん(仮名)は、両親が嫌いで友達にも本音で話すことができないまま成人し、
結婚して子供ができたものの離婚、そして罪を犯してしまったのです。
面会に来た母親にも素直になれず、
死にたいと思う日々の中、
母親が差し入れてくれた私達の本を読んで号泣し、
母親に、「ありがとう。ごめんね」と手紙を書きます。
今までの気持ちを素直に綴ったことによって気持ちが楽になり、
「早くここを出て仕事をしたい、人を幸せにする生き方の日本一を目指したい」
と思うようになったのです。
さて、一郎さんからの手紙に感動した私達は、
早速、「あなたが書いてくれた手紙は、私達の宝物になりました」と手紙を書きました。
そして、彼にぜひ読んでほしいと思った本と一緒にお送りしました。
「鏡の法則」(著・野口嘉則 総合法令出版)、
「君と会えたから…」(著・喜多川泰 ディスカバー21)、
「私が一番受けたいココロの授業」(私達の一作目の本。ごま書房出版)の三冊です。
すると、また彼から手紙が届いたのです。
「百九十二番、荷物が届いたよ」と看守の人に言われ、見てびっくり!
「…わ~ん!」今日はこれから公判で、
気持ちがどんよりしていて、
「与える者は与えられる」を読みながら、
「俺は変わる。変わるチャンスを与えられた。今だ!」などと言っていた時でした。
荷物をあけると本が出てきてビックリ!
さらに手紙が出てきて、読みながら、
「俺の書いた手紙が宝物?」
「会うのが楽しみ?」
「信じられない。夢だ。わ~ん!」
…こんな感じで泣き崩れました。
実はあの後、母にお願いして
「ココロの授業」と「鏡の法則」を差し入れしてもらっていたんです。
そして、本に書いてあった「役割」について、
「俺の役割…う~ん…」と毎日考えながら、
答えがでたら、報告の手紙を出そうと思っていました。
「人の役に立つこと」について考えて、
「今、自分が与えられている事」「過去の事」を一冊の本にしたいと思いました。
今、この留置所には十五人ほどの人がいます。
みんな後悔しています。
僕はそんな人たちのために、
しっかりとした人間になって、罪を犯してしまった代表として、
二度と同じ事をしないように本を書いて
…俺の夢は警察署の留置所、刑務所に自分の本を置いてもらうことです。
あと、一生懸命に働きたい!
仕事がしたい!
それで、父や母が亡くなったとき、
自分のお金で葬式して、戒名つけて、お墓に入れてあげたいって思っています。
「一郎が心配…」よりも、
「一郎、育ててよかった」「産んでよかった」って
天国に行ってもらえたらって思っています。
「君と会えたから…」にはサインが書いてありました。
この本は先生にとって宝物ですよね?
直筆ですよね。
僕も宝物をあげます。
もらって下さい。
手紙を書いた後に届いた母からの手紙です。
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留置所の中ですから、何か贈りたいと思っても、何もないはずです。
それでも彼は
「何か送りたい! それも自分の宝物を!」…と、
一生懸命考えて、
手元にあった大事なお母さんからの手紙を送ってくれたのです。
「一郎へ …本を読んで、素直という言葉、一郎に一番必要だと思いました。
○○さん(お世話になった刑事さん)には、会うことができませんでした。
一郎がお世話になったと思うなら、出てから一番にお礼に行きなさい。
一郎の事、とても考えてくれていて、有難かったですね。
しっかりした人間になることが○○さんへの恩返しです。
松田一郎(仮名)という人間をもっと大事にしなさい。
そして、松田一郎は悪い事をしたけど、
二度と同じ失敗をしないよう、心に誓って下さいね。
これからが、一郎自身の戦いです。
お金(保釈金)を出して助けてあげる事はできませんが、
今までの一郎の生き方をよく考えさせられる、
いい時間を神様からもらったと感謝して生活してください。
お母さんは応援していますから、いつも…。
心の中で、おばあちゃんに手を合わせることも忘れずにいて下さい。
花ちゃん(仮名)にも感謝して生活してください。
彼女は一生懸命、子どもを育ててくれてると思うから・・・。
最後に、お父さん…苦労しています。一人頑張っています。
いや、姉ちゃんも、次郎(仮名)も頑張っていますョ。
一郎も頑張っていると信じています。
体に気をつけてね。」
この手紙を読んで、また涙が出てきました。
そして、「一郎さんは大丈夫!」と思いました。
息子が留置所に入っているのに、
「生き方を考えさせられる、いい時間を神様からもらった」なんて、
なかなか言えないと思うのです。
本当に息子さんの将来を思っているからこその言葉だと思うのです。
そして、たくさんの方への感謝の気持ちにあふれている手紙…
こんなお母さんが育てた一郎さんは、
必ず立ち直ってくれると確信しています。
人間の心は弱いものです。
時には心が曲がってしまい、
悪い事をしてしまったりすることがあるかもしれません。
でも、根っこの部分は、
やっぱり親の「あり方」だと思うのです。
親の「あり方」や「生き方」がまっすぐならば…
子供に、心からの愛情を注いでいれば、
必ず子供は自分で気付いて、
まっすぐな生き方ができるようになると思うのです。
まさに、一郎さんにとっては、
この時間は「神様の贈り物」なんだと思います。
生まれ変わった彼の、今後が楽しみです。
(「プチ紳士からの手紙」 2010年8月号より引用)
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